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その五

イグドラシルの果実

1章~日常~

ーーーーー4話ーーーーー

「もう9歳か早いなー」

そう言いながらガシガシとココナの頭を撫でる。

「うぅ~いたいー。」

そう言いながらも満更でもないような顔をするココナ、つかの間の幸せ…と言っても別に切羽詰まった生活をしているわけではない。

毎日騒いでるので二人にとってはなんてことない普通のことなのだ、誕生日だろうが何の日だろうがハイテンションで騒げるのだ。

「じゃあココナ、ケーキくうか?」

「たべるー!」

冷蔵庫に冷やしておいたショートケーキ4切、一つだけ誕生日おめでとうと書かれたチョコが乗っている。

「わぁー兄ちゃんの手づくり?」

「そーおれの手作りケーキ、じゃなくてチョコな。」

賑やかに繰り広げられるバースデーパーティー、辺りに他の家が無いためにいつもよりもテンション高めな二人であった。

…。

何時の間にか日付が変わっていた、ココナも疲れたのだろう寝息を立てながら眠っている。

珠真はココナを抱きかかえて布団に寝かす、腕に感じる重さと温かさに顔がほころぶ珠真。

「7年くらい経つな~ホント迷惑な親御さんだよ。」

7年前、珠真兄妹の両親が亡くなってしまった事故。

珠真の聞いた話では大規模な事故だったそうだ、突然起きた大爆発に巻き込まれた大勢の人達、その中に兄妹の両親もいたのだ。

原因は詳しくはわからないと言うことなのだが、タンクローリーで運搬中のガスが爆発したのではないかと言われている。

そんなことは珠真にとってはどうでもいいことなのだが。

スースーと可愛げに寝息を立てて寝ている妹をそっとなでる。

「チョット散歩いくねーココナ。」

そういうと気分転換に外へと出かける珠真、どこに向かうでもなくただうろつくだけの日課みたいなものだ。

暗い夜道、月明かりだけに照らされた田舎道は不気味な雰囲気を醸していた。

この時間帯は商店街のすべての店はしまっており、点々と電灯が光っているだけである。

それでもここだけは他に比べると明るいため珠真はいつもここまできて家に帰る…のだが今回は何を思ったのか学校まで向かおうと考えていた。

「夜この季節の学校といやー怪談だろー七不思議だろー。」

一人ノーテンキにそう言いながら学校へと向かう、どうやら七不思議というものに興味があるようだ。

鼻歌交じり気分が乗って来た珠真、こうなってしまってはもう手のつけようが無い、バカスイッチのオン状態だ。

何をやらかすかわからない危険な状態であり、霊だろうが妖怪だろうがなんの気にもしないのであろう。

そんな危険(バカ)な状態のまま学校へと到着してしまった珠真、もちろん正門はキッチリ閉められているのだが…。

「いっきまーす!」

と言うや否やいとも簡単に正門を乗り越えて侵入してしまった。

そしてドヤ顔で校内へと侵入する、長い廊下を取り敢えず進む。

珠真がこれほど簡単に侵入できたのには理由があった、実は学校から帰る前に一階の窓の鍵を微妙に開けていたのだ。

このぬかりの無いところも珠真ならではである。

「はーなこさんこーんどあっそびまーしょ!」

と廊下でしかも今度と律儀に約束する辺り流石であるが、トイレはずっと先でありきっと聞こえてはいないだろう。

「飽きたー。」


潜入からわずか2分ほどなのだが、すぐ飽きてしまうのも珠真のバカモードなのだ。

くるりと向きを変えて侵入して来た窓へと歩き足をかけた。

その時だった。

「…ん?」

珠真の目の前に佇む人影、顔などはよく見えないが人であることは間違いない。

「あんたも探検?七不思議か?」

明らかに不審な人影であるにも関わらず自分と同じ目的ではないかと思えるのはきっと珠真だけだろう。

まぁ相手からすれば珠真も不審者なのだが…。

「わたしは…貴方は…わからない。」

謎の言葉を発してまた黙った女性であろうと思われる人物、その後は終始無言で見つめあっていた…。




ーーーーー続くーーーーー
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