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その七

イグドラシルの果実

1章~日常~

ーーーーー6話ーーーーー

学校からの帰り道、暗い夜道を一人先ほどの女の子のことを考え歩く。

謎だらけの彼女、珠真がわかっているのは名前くらいだ。

神無零蘭、辺りが暗かった所為で顔がはっきり見えたわけではないのだが、珠真は零蘭が美人だったと決めつけている。

そうと決めつければ珠真は止まらない、明日あらゆる交友を頼り情報収集をするつもりだった。

そのストーカー紛いの行動を珠真は一度実際に行っていたのだ、警察沙汰になりかけたのだが本人に危機感はなかったと言う。

いまとなっては笑い話なのだが、当時は大騒ぎだったのだ。

それを今回も性懲りもなく行動に移そうとしているのは珠真だからこそだろう。

真夜中の帰り道を少し遠回り、見慣れた景色から外れ別の景色を捉える。

この街に流れる唯一の川、それに架かる古い橋は景色に溶けない灰色、冷たい鉄の色。

その前で一度立ち止まる、歩き出して橋の真ん中あたりでもう一度立ち止まる。

大きく息を吸い込み両腕を上へと突き出す。

「明日も頑張るぞーッ!」

一人発した声は遠くの山に反射しこだまする、一気に橋を駆け抜け渡りきると向こう側へと足を踏み入れる。

見慣れない景色を気にも留めずに足早に家にへと向かって行った。

月の明かりがその道を照らしていた。

翌朝、学校の教室、珠真のクラス。

「なんだって!?」

その声を皮切りに教室中の男子がどよめく、ザワザワと落ち着かないのはいつものことながら今日は一段とうるさい。

その騒がし教室の入口にて立ち尽くす珠真、暑苦しい男どもから離れてちかくの女子集団に逃げ込む。

「どーゆー状況?」





「なるほど、転校生が美人で男子は盛り上がり、女子はジェラシーか…なんてこった。んー俺はそれどころじゃねーんだけどなぁ。」

鳴り響く予鈴、教室に入ってくるいかつい顔の担任
『厳屋樹助』(いかや きすけ)
とその隣に立つ転校生。

「ん…?」

「神無零蘭…です。」




ーーーーー続くーーーーー
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その禄

イグドラシルの果実

1章~日常~

ーーーーー5話ーーーーー

妖しく照らす月明かりに陰る彼女の表情。

言葉の意味が理解できない珠真は珍しくだんまりである。

「あの…私は…えっと。」

「美人だ。」

「え?」

唐突に発せられる言葉、立ち尽くす彼女に近づく珠真。

「名前は?」

珠真はすぐさまクールキャラを演じ始めて立ち尽くす彼女に顔をグーっと近づける。

「なまえ?…れいら。神無 零蘭(かなし れいら)です。」

誰もが顔を赤らめる程の距離まで近づけたイケメンフェイス、だが零蘭は表情を変えることもなくただ珠真の眼を見つめる。

「…ん?」

その今までにない状況に少し動揺する珠真、顔を近づけたことが急に恥ずかしくなり零蘭と距離をおく。

感じる違和感。

「あの…貴方は?」

単調で感情の伝わらない声、凍てつくような冷たい視線に絶望に満ちたような瞳。

「俺は珠真…北桜 珠真。」

「ミナマ?…ミナマ、またね。」

「え?」

零蘭は背を向けて歩き出す、珠真は追うことさえできずにその場で立ち尽くす。

胸に残る違和感と妙な感覚、珠真に残っただれと話していたのかという感覚。

「不思議な奴もいたもんだ。」

静寂の世界、闇のなかに一人佇むミナマ。

月明かりに照らされた校舎には不気味な雰囲気をかもしていた…。

珠真がこれから背負う運命。

零蘭が背負った非情で酷な使命。

そんなことなど知る由もなく珠真は家へと帰るのであった。




ーーーーー続くーーーーー

今回は少し短めです(^_^;)


まぁだれもみないか
。・゜・(ノД`)・゜・。

その五

イグドラシルの果実

1章~日常~

ーーーーー4話ーーーーー

「もう9歳か早いなー」

そう言いながらガシガシとココナの頭を撫でる。

「うぅ~いたいー。」

そう言いながらも満更でもないような顔をするココナ、つかの間の幸せ…と言っても別に切羽詰まった生活をしているわけではない。

毎日騒いでるので二人にとってはなんてことない普通のことなのだ、誕生日だろうが何の日だろうがハイテンションで騒げるのだ。

「じゃあココナ、ケーキくうか?」

「たべるー!」

冷蔵庫に冷やしておいたショートケーキ4切、一つだけ誕生日おめでとうと書かれたチョコが乗っている。

「わぁー兄ちゃんの手づくり?」

「そーおれの手作りケーキ、じゃなくてチョコな。」

賑やかに繰り広げられるバースデーパーティー、辺りに他の家が無いためにいつもよりもテンション高めな二人であった。

…。

何時の間にか日付が変わっていた、ココナも疲れたのだろう寝息を立てながら眠っている。

珠真はココナを抱きかかえて布団に寝かす、腕に感じる重さと温かさに顔がほころぶ珠真。

「7年くらい経つな~ホント迷惑な親御さんだよ。」

7年前、珠真兄妹の両親が亡くなってしまった事故。

珠真の聞いた話では大規模な事故だったそうだ、突然起きた大爆発に巻き込まれた大勢の人達、その中に兄妹の両親もいたのだ。

原因は詳しくはわからないと言うことなのだが、タンクローリーで運搬中のガスが爆発したのではないかと言われている。

そんなことは珠真にとってはどうでもいいことなのだが。

スースーと可愛げに寝息を立てて寝ている妹をそっとなでる。

「チョット散歩いくねーココナ。」

そういうと気分転換に外へと出かける珠真、どこに向かうでもなくただうろつくだけの日課みたいなものだ。

暗い夜道、月明かりだけに照らされた田舎道は不気味な雰囲気を醸していた。

この時間帯は商店街のすべての店はしまっており、点々と電灯が光っているだけである。

それでもここだけは他に比べると明るいため珠真はいつもここまできて家に帰る…のだが今回は何を思ったのか学校まで向かおうと考えていた。

「夜この季節の学校といやー怪談だろー七不思議だろー。」

一人ノーテンキにそう言いながら学校へと向かう、どうやら七不思議というものに興味があるようだ。

鼻歌交じり気分が乗って来た珠真、こうなってしまってはもう手のつけようが無い、バカスイッチのオン状態だ。

何をやらかすかわからない危険な状態であり、霊だろうが妖怪だろうがなんの気にもしないのであろう。

そんな危険(バカ)な状態のまま学校へと到着してしまった珠真、もちろん正門はキッチリ閉められているのだが…。

「いっきまーす!」

と言うや否やいとも簡単に正門を乗り越えて侵入してしまった。

そしてドヤ顔で校内へと侵入する、長い廊下を取り敢えず進む。

珠真がこれほど簡単に侵入できたのには理由があった、実は学校から帰る前に一階の窓の鍵を微妙に開けていたのだ。

このぬかりの無いところも珠真ならではである。

「はーなこさんこーんどあっそびまーしょ!」

と廊下でしかも今度と律儀に約束する辺り流石であるが、トイレはずっと先でありきっと聞こえてはいないだろう。

「飽きたー。」


潜入からわずか2分ほどなのだが、すぐ飽きてしまうのも珠真のバカモードなのだ。

くるりと向きを変えて侵入して来た窓へと歩き足をかけた。

その時だった。

「…ん?」

珠真の目の前に佇む人影、顔などはよく見えないが人であることは間違いない。

「あんたも探検?七不思議か?」

明らかに不審な人影であるにも関わらず自分と同じ目的ではないかと思えるのはきっと珠真だけだろう。

まぁ相手からすれば珠真も不審者なのだが…。

「わたしは…貴方は…わからない。」

謎の言葉を発してまた黙った女性であろうと思われる人物、その後は終始無言で見つめあっていた…。




ーーーーー続くーーーーー
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Author:スノードロップ
年齢:16歳

高校生です。
プロフ画像は星子さん作です^^

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